サーキット走行を始めると、多くの人が気になり始めるのが「自分のラップタイム」です。
「前回より速く走れたのか?」
「今の自分は何秒くらいで走っているのか?」
「どうすれば走行をもっと詳しく振り返れるのか?」
そんな疑問に答えてくれるのが、ラップタイマーです。
現在は、サーキットに設置された公式計測システムだけでなく、スマートフォンやGPSを利用して、自分でラップタイムを計測できる機器やアプリもあります。
この記事では、GPSラップタイマーを初めて使う方に向けて、
- ラップタイマーにはどんな種類があるのか
- GPSラップタイマーとは何か
- スマートフォンだけでも使えるのか
- 外部GPSを使うメリット
- ラップタイマーを走行にどう活用するのか
を初心者向けに解説します。
ラップタイマーにはどんな種類がある?
まず、GPSラップタイマーについて説明する前に、現在使われているラップタイマーにはどのような方式があるのかを整理してみましょう。
サーキットのラップタイムを測定する方法には、いくつかの方式があります。
ストップウォッチ
いわゆるストップウォッチです。仲間に計測してもらう。スイッチを自作して押しながら計測するなどの方法がおこなわれています。
気持ちが入るとタイムが速くなったり、遅くなったり、押し忘れたりと不安定な要素が多いですが安値でラップタイムが計測できるといったメリットもあります。
公式計測システム
サーキットやレースイベントなどで使用されているのが、専用の計測システムです。
代表的なものとして、車両やライダーにトランスポンダー(ポンダー)を取り付け、コース側に設置された計測設備を利用して通過時刻を記録する方式があります。
レースの順位や公式リザルトなどに使用されるため、正確な公式タイムを確認する用途に向いています。
ただし、個人が自由に持ち込んで、どこでも使えるものではありません。
磁気式ラップタイマー
以前からサーキット走行で使われてきた方式の一つが、磁気を利用したラップタイマーです。
コース側に設置された磁石などを検出することで、特定の場所を通過したことを判断します。
GPSが普及する以前から利用されてきた方式で、GPSの電波状況に左右されないという特徴があります。
一方で、コース側に検出設備が必要になるため、どこでも自由に計測できるわけではありません。
赤外線式ラップタイマー
赤外線を利用して、スタート/ゴール地点を通過したことを検出する方式もあります。
送信機と受信機を利用して計測するため、GPSとは違った仕組みでラップタイムを測定できます。
こちらも計測設備を必要とするため、使用できる場所や設置方法に制約があります。
GPSラップタイマー
現在、個人でラップタイムを計測する方法として便利なのがGPSを利用した方式です。
GPSラップタイマーでは、GPSから取得した位置情報を利用して、自車が設定したスタート/ゴールラインを通過したことを判断します。
GPSを利用するため、サーキット側に専用の計測設備がなくても、自分で計測ラインを設定できることが大きな特徴です。
さらにGPSログを保存できるシステムなら、走行後に走行ラインや速度などを確認することもできます。
GPSラップタイマーとは?
GPSラップタイマーとは、GPSから取得した位置情報を利用して、サーキットのラップタイムを計測するシステムです。
あらかじめスタート/ゴールラインを設定しておくと、GPSで取得した自車位置がそのラインを通過したことを検出し、ラップタイムを記録します。
従来のサーキット計測では、
- MYLAPSなどの公式計測システム
- 磁気式ラップタイマー
- 赤外線式ラップタイマー
などが使われてきました。
GPSラップタイマーでは、GPSの位置情報を利用するため、専用の計測設備がない場所でも自分で計測ラインを設定できます。
スマートフォンを利用できるタイプもあり、以前より手軽にラップタイムを記録できるようになりました。
GPSラップタイマーを使うと何が分かる?
ラップタイマーの基本的な役割は、1周のタイムを測ることです。
しかし、GPSログを保存できるシステムなら、それだけではありません。
例えば、
- ラップタイム
- ベストラップ
- セクタータイム
- GPS速度
- 走行ライン
- コーナーごとの速度変化
- ブレーキング開始位置の目安
- 減速・加速した区間
- 走行データの比較
などを確認できます。
つまり、単に「何秒だったか」を知るだけではなく、
「なぜそのタイムになったのか」
を考えるためのデータとして利用できます。
ラップタイマーは本当に上達につながる?
結論から言うと、ラップタイマーを取り付けただけで速くなるわけではありません。
ラップタイマーはライディング技術を直接向上させる装置ではありません。
しかし、走行結果を数字として残せることには大きな意味があります。
感覚だけでは分からないことがある
走行後に、
「今日はかなり速く走れた気がする」
と思っていても、実際のタイムを確認すると前回とほとんど変わっていないことがあります。
逆に、
「今日は全然ダメだった」
と思った走行が、実際にはベストラップだったということもあります。
人間の感覚だけでは、走行結果を正確に判断するのは難しいものです。
ラップタイマーを使えば、感覚を数字で確認できます。
上達につながる理由① 現在の状態を把握できる
例えば、
45.00秒
↓
44.50秒
↓
44.20秒
とタイムが変化していけば、自分の走行がどのように変わっているのかを客観的に確認できます。
大幅なタイムアップではなくても、0.1秒、0.2秒という小さな変化を記録できることは、練習を続けるうえで重要です。
上達につながる理由② 改善する場所を考えられる
ラップタイムだけでは、
「どこでタイムを失ったのか」
までは分かりません。
そこでセクタータイムやGPSログを利用します。
例えば、
- 第1セクターは自己ベスト
- 第2セクターで0.3秒遅れている
- 最終セクターは過去最速
という結果なら、
「今回は第2セクターが課題だった」
と考えることができます。
さらに走行ラインや速度データを比較すれば、より具体的な改善ポイントを探せます。
上達につながる理由③ セッティング変更の結果を確認できる
サーキット走行では、
- タイヤ空気圧
- サスペンション
- ギア比
- ライディングポジション
などを変更することがあります。
しかし、変更した直後の感覚だけでは、本当に速くなったのか判断できない場合があります。
そこでラップタイムやセクタータイムを記録しておけば、変更前と変更後を比較できます。
もちろん、路面温度やタイヤ状態、交通状況なども結果に影響するため、タイムだけで全てを判断することはできません。
それでも、走行結果を数字として残しておくことで、感覚だけに頼らず検証できるようになります。
上達につながる理由④ 走行のモチベーションになる
「前回より0.2秒速くなった」
「ベストラップを更新した」
「苦手だったセクターが改善した」
こうした小さな変化を確認できることも、ラップタイマーを使うメリットです。
ただし、タイムを追いかけすぎることには注意が必要です。
無理な走行をしてまでタイムを縮めるのではなく、
安全に走行しながら、自分の成長を確認するための道具
として利用することが大切です。
GPSラップタイマーにはどんな種類がある?
GPSラップタイマーは、大きく分けると次のような構成があります。
スマートフォン単体型
スマートフォンに内蔵されているGPSを利用するタイプです。
【メリット】
- すぐに始められる
- 専用GPSを購入する必要がない
- 機材が少ない
- 初期費用を抑えやすい
サーキット走行を始めたばかりで、「まずラップタイムを測ってみたい」という方には手軽な選択肢です。
1. RaceChrono(レースクロノ)
2. GPS Laps(GPSラップス)
3. DigSpice Circuit Timer(デジスパイス サーキットタイマー)
4. LapTrophy(ラップトロフィー)
5.Dorroger(ドロガー)
などが有名です。
【デメリット】
多くのスマホは1Hz GPS
ラップ判定の精度に限界がある
走行ライン解析には不向き
こんな人におすすめ
サーキット初心者
スポーツ走行を楽しみたい人
まずはラップタイマーを体験したい人
注意点
スマートフォンのGPS性能や位置情報の更新頻度によって、ラップ判定や走行ラインの記録結果が変わる場合があります。
外部GPS接続型
スマートフォンに外部GPSモジュールを接続するタイプです。
外部GPSには5Hzや10Hzなど、スマートフォン内蔵GPSより高い更新レートに対応した製品があります。
1. RaceChrono / RaceChrono Pro(iOS / Android)
2. GPS Laps(Android)
3. Harry's LapTimer(iOS / Android)
4.Dorroger(Android)
などが有名です。
【メリット】
【デメリット】
GPSモジュールが必要
配線や接続設定が必要
こんな人におすすめ
ミニバイクレース参加者
タイム更新を目指す人
走行解析を活用したい人
専用ロガー型
サーキット走行や車両データの記録を目的として設計された専用機器もあります。
専用ロガーではGPSだけでなく、車速、回転数、各種センサーなどを組み合わせて記録できる製品もあります。
1. AIM Solo 2 / Solo 2 DL(エーアイエム ソロ)
2. QSTARZ LT-8000GT / LT-8000S(キュースターズ)
3. DigSpice IV(デジスパイス4)
などが有名です。
【メリット】
非常に高精度
各種センサーとの連携が可能
本格的な解析ができる
デメリット
導入費用が高い
配線や設置が複雑
車両ごとの取り付け作業が必要
こんな人におすすめ
レース参戦者
データ解析を重視する人
本格的なセッティング開発を行う人
【デメリット】
高価
配線や設置に手間がかかる
初心者はどれを選べばいい?
目的によって選択肢は変わります。
初めてサーキットを走る
まずはスマートフォン単体のGPSラップタイマーでも十分です。
「自分が何秒で走っているのか」を知るところから始められます。
タイム更新を目指す
外部GPSを組み合わせる方法があります。
特にセクタータイムや走行ラインを利用したい場合は、高い更新レートに対応したGPSが選択肢になります。
もっと細かく走行を分析したい
専用ロガーや解析システムを検討し、外部GPSを組み合わせる方法があります。
特に、
- 走行ライン
- GPS速度
- セクター
- GPSログ
ただし、高性能な機器ほど必ずしも全員に必要というわけではありません。
自分が何を知りたいのか
を先に考えて、それに必要な機能を持つ機器を選ぶことが重要です。
GPSラップタイマーと公式ポンダーの違い
GPSラップタイマーとサーキットの公式計測システムは、同じものではありません。
公式計測システムは専用の計測設備を利用するため、レース結果などの公式タイムを確認する用途に適しています。
一方、GPSラップタイマーは、
- 自分で計測ラインを設定できる
- GPSログを保存できる
- 走行ラインを確認できる
- セクター分析ができる
など、練習や走行分析に向いています。
GPSラップタイマー導入のメリット
手軽に導入できる
スマートフォンを利用できるため、大掛かりな設備を用意しなくても計測を始められます。
自分のタイムをいつでも確認できる
走行直後にラップ履歴を確認でき、ベストラップ更新もすぐに把握できます。
走行解析ができる
GPSログを保存すれば、
走行ライン
速度変化
セクタータイム
ベストラップ比較
などを確認でき、上達のヒントを得ることができます。
GPSラップタイマーを使うときに大切なこと
GPSラップタイマーは便利なツールですが、タイムだけを追いかければよいわけではありません。
特にサーキットでは、
安全に走行することが最優先です。
ラップタイムを縮めるために無理なブレーキングや危険な走行をするのではなく、
「前回よりどう変わったのか」
「どこを改善できそうなのか」
を確認するためにデータを利用するのがおすすめです。
GPSラップタイマー初心者Q&A
Q. GPSラップタイマーはスマートフォンだけでも使えますか?
はい。
スマートフォン内蔵GPSを利用するタイプなら、外部GPSなしで計測できます。
ただし、スマートフォンやアプリによってGPSデータの更新頻度や取得方法が異なるため、計測結果には違いが出る場合があります。
Q. 10Hz GPSは絶対に必要ですか?
必ずしも必要ではありません。
まずラップタイムを確認するだけなら、スマートフォンのGPSから始める方法もあります。
一方、走行ラインやセクタータイムなどをより細かく確認したい場合は、5Hzや10Hzの外部GPSが選択肢になります。
Q. 10HzならどのGPSでも同じですか?
いいえ。
更新レートだけでなく、GPSモジュールの測位性能や受信環境、データ処理方法なども影響します。
実走テストでも、GPSモジュールによって結果が異なるケースを確認しています。
Q. GPSラップタイマーは公式ポンダーと同じですか?
同じではありません。
公式ポンダーは公式計測用のシステムです。
GPSラップタイマーは、個人の練習や走行データの記録・分析に向いています。
Q. GPSデータは何に使いますか?
走行後のデータ解析に利用できます。
走行ライン、速度、時刻などを確認できるため、ラップタイムだけでは分からない走行内容を振り返ることができます。
Q. ラップタイマーを使えば速くなりますか?
ラップタイマー自体がライディング技術を向上させるわけではありません。
しかし、走行結果を数字で確認できるため、「どこを改善すればよいのか」を考えるための材料になります。
まとめ
GPSラップタイマーは、サーキット走行で自分のラップタイムを記録するだけでなく、走行データを振り返るための便利なツールです。
初心者であれば、まずスマートフォン単体から始める方法があります。
さらに、
ラップタイムを細かく比較したい
セクタータイムを確認したい
走行ラインを解析したい
という目的が出てきたら、外部GPSやGPSログ解析を検討するとよいでしょう。
そして、GPSの更新レートだけでなく、GPSモジュールの性能やデータ処理、ラップ判定方法なども重要です。
私自身も、
「もっと手軽に、でも正確にラップタイムを知りたい」
という思いから自作GPSラップタイマーKLAPの開発を始めました。
KLAPの開発では、実際の走行テストを行いながらGPSやラップ判定方法を検証しています。
このサイトでは、単にGPSラップタイマーの一般的な情報を紹介するだけではなく、実際にKLAPを開発・使用して分かったことを、実走データや開発記録とともに公開しています。
GPSラップタイマーをこれから使ってみたい方は、まず自分のラップタイムを記録するところから始めてみてください。
そこからセクタータイムやGPSログを利用することで、
「何秒だったか」から「なぜそのタイムだったのか」
へと、走行データの活用を広げることができます。





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