GPSラップタイマー用のGPSモジュールを探していると、
「10Hz対応GPSを買ったけど、どうやって10Hzにするの?」
「GPSモジュールの設定は必要?」
「NMEAって何?」
「u-blox M8はどう設定すればいい?」
という疑問が出てきます。
前回の記事では、GPSラップタイマー向けGPSモジュールの選び方について紹介しました。
▶ GPSモジュールは何を選べばいい?ラップタイマー向けGPSの選び方
今回はその続きとして、実際にu-blox M8シリーズのGPSモジュールをPCに接続し、設定を確認する方法を紹介します。
私自身、GPSラップタイマー「KLAP」の開発でu-blox M8系GPSモジュールを使用し、実際のサーキット走行で検証してきました。
GPSモジュールは、単純に「10Hz対応」と書かれている製品を購入するだけではなく、
現在どのような設定になっているのか
を確認することが重要です。
この記事では、
GPSモジュールをPCに接続する
u-centerで認識させる
現在の設定を確認する
更新レートを確認する
GNSS設定を確認する
NMEA出力を確認する
ボーレートを確認する
設定を保存する
GPSラップタイマーで使用する
という順番で説明します。
u-blox M8とは?
u-blox M8は、u-bloxのGNSS受信機シリーズです。
GPSだけではなく、製品や設定によってGLONASS、Galileo、BeiDou、QZSSなど複数の衛星測位システムを利用できます。
ただし、M8シリーズならすべて同じ仕様というわけではありません。
例えばNEO-M8シリーズでも、型番によって最大ナビゲーション更新レートが異なります。
そのため、
「M8=必ず10Hz」
と考えるのではなく、
使用しているGPSモジュールの型番と仕様を確認する
ことが重要です。
実際の設定でも、使用するGNSSの組み合わせによって設定可能な更新レートが変わる場合があります。
M8の設定には「u-center」を使用する
u-bloxのGPSモジュールをPCから設定する場合、専用ソフトウェアを使用すると便利です。
M8シリーズでは、u-bloxのGNSS評価ソフトウェアであるu-centerを使用できます。
u-blox社のソフトなのでもちろん無料です。
現在のバージョンは、V25.06(2026.10現在)でした。
u-centerとu-center2がありますが、M8まではu-centerが使いやすいです。
u-centerでは、
GPS/GNSSの状態確認
衛星の受信状態確認
位置情報の確認
NMEAデータの確認
更新レートなどの設定
各種GNSS設定
GPSログの確認
などができます。
u-blox公式でも、u-centerはM8などのu-blox GNSS製品の設定・評価・解析に利用できるソフトウェアとして案内されています。
※M10シリーズでは現在、u-center 2が使用されます。M8とM10では設定ソフトが異なるため注意してください。
まずGPSモジュールをPCへ接続する
GPSモジュールを設定するには、まずPCと通信できる状態にします。
接続方法はGPSモジュールによって異なります。
購入したGPSモジュールによりパソコンへの接続方法は異なります。
GPSモジュールにUSB端子がない場合
GPSモジュール
↓
USB-UART変換アダプター
↓
PC
という接続にします。
GPSモジュールが剥き出しの配線ではUSB-UART変換アダプタへの接続は、別途コネクタや配線が必要になります。
ブレッドボードや、メスーメスのコネクタを使って配線します。
GPSモジュール GND → USB-シリアル通信モジュール GND
FT232RL FTDI USB-TTLアダプタこのFT232RL FTDIモジュールは、USB信号をTTLシリアル信号に変換するため、 Arduinoデバイスなどのマイクロコントローラとのプログラミングや通信に最適です。
GPSモジュール
↓
USBケーブル (USB変換アダプタで変換)
↓
PC
と接続できます。
GPSモジュールが、typeA、microC など種類がありますが、パソコンやスマホにあわせ変換アダプタを用意してください。
接続後の確認として重要なのが、GPSモジュールがPCからCOMポートとして認識されているかです。
Windowsの場合は「デバイスマネージャー」(windows+「X」でデバイスマネージャー選択)を開き、COMポートを確認します。
上の画像では、ポート(COMとPLT)に COM11 として表示されています。
使用しているGPSモジュールによって表示される番号は異なります。
今回は手持ちのUSB-GPSモジュールで接続設定を確認します。
u-centerを起動する
まず確認するのは、
どのCOMポートにGPSモジュールが接続されているか
です。
COMポートを間違えるとGPSモジュールからデータを受信できません。
次に通信速度であるボーレートを確認します。
ボーレート(Baud Rate)とは、データ通信(特にシリアル通信)において、「1秒間に何回、信号(変調状態)の変化が起こるか」を表す単位・データ伝送速度の指標です。
GPSモジュールとスマートフォンやマイコンなどが通信する場合、通信速度も重要になります。
代表的な設定として、
9600bps
38400bps
57600bps
115200bps
などがあります。
GPSモジュールから出力するNMEAデータ量や更新レートによって必要な通信速度が変わります。
例えば10Hzで多くのNMEAメッセージを出力する場合、低いボーレートでは通信が追いつかなくなる可能性があります。
KLAPの開発でも、GPSモジュールの更新レートだけではなく、GPSから出力されるデータ量と通信速度を確認しています。
GPSモジュールは1秒間に複数のデータを送信します。ボーレートが低すぎるとデータをすべて送信できない状態になりますので適切なボーレートを選ぶ必要があります。
115200bpsあれば十分な通信速度であると思います。
また、GPSモジュール側とPC側の通信速度が一致している必要があります。
例えばGPSモジュールが115200bpsで通信している場合、u-center側も同じ通信速度に設定します。
GPSモジュールが認識されているか確認する
正常に接続できると、u-center上でGPSモジュールから送られてくる情報を確認できます。
ここではまず、
緯度
経度
衛星数
測位状態
速度
時刻
などが表示されているか確認します。
測位が始まると、右上のボタンを押したViewで選んだグラフや地図に何かしらが表示されるようになります。GPSアンテナを接続して屋外など受信しやすい場所で確認すると、測位状態も確認しやすくなります。
この段階では、まだ設定を変更する必要はありません。
まず現在の状態を確認する
ことが重要です。
最初に確認したいのが「更新レート」
GPSラップタイマーで重要なのが、GPSの更新レートです。
確認は
メニューの「View」→「Configuration View」→「RATE」を選んでください。
左下にある「Poll」ボタンを押すとGPSモジュールの現在の設定が表示されます。
この場合、TimeSourceは GPS-timeを確認します。
例えば、
1Hz
なら、基本的には1秒間に1回のナビゲーション更新です。
マーカー部は1000msとなっています。
5Hz
なら、1秒間に5回。 500ms
10Hz
なら、1秒間に10回の更新になりますので、100msとなっています。
ただし、ここでも注意が必要です。
GPSモジュールが10Hzに設定されていることと、GPSの測位精度が高いことは別の話です。
10Hzはあくまで更新頻度です。
GPSラップタイマーでは、
更新レート
+
測位性能
+
アンテナ
+
受信環境
+
ソフトウェアの処理
を組み合わせて考える必要があります。そのため、他の項目も確認していきます。
GNSS設定を確認する
次に確認したいのが、どの衛星測位システムを使用しているかです。
「View」→「GNSS」
GPSモジュールによっては、
GPS
GLONASS
Galileo
BeiDou
QZSS
などを組み合わせて使用できます。
u-blox7などでは接続される衛星と更新レートが制限されていることがあります。
そのため、
「何Hzで動かすか」
だけではなく、
「どのGNSS構成で動かすか」
も確認します。
体験上ラップタイマーでは、衛星の数はさほどタイム測定には影響しないと思っています。
NMEA出力を確認する
GPSラップタイマーでは、GPSモジュールから位置情報などを受け取ります。
そこで重要になるのがNMEAメッセージです。
「MSG」から何が「1」になっているか確認してください。
代表的なものに、
GGA
RMC
GSA
GSV
などがあります。
KLAPのようなGPSラップタイマーでは、必要なデータをNMEAから取り出して使用します。
例えば、
RMC
からは、
時刻
緯度
経度
速度
進行方向
日付
などを取得できます。
GGA
からは、
緯度
経度
測位状態
衛星数
高度
などを取得できます。
ただし、すべてのNMEAメッセージを大量に出力すればよいわけではありません。
10Hzで大量のNMEAデータを出力すると、通信量も増加します。
GPSモジュールの更新レートを上げる場合には、
GPSの処理能力
だけでなく、
通信速度と出力データ量
も確認する必要があります。
そのため、不要なデータは送信しないように設定することでトラブルが少なくなります。
変更する前に確認すること
ここまで確認したら、いよいよ設定です。
しかし、いきなり変更するのではなく、まず現在の状態を確認しておいてください。
チェックする項目は、
現在の更新レート
1Hzなのか、5Hzなのか、10Hzなのか。
GNSS設定
どの衛星測位システムを使用しているか。
NMEA出力
どのメッセージが出力されているか。
ボーレート
GPSモジュールと接続機器がどの通信速度で通信しているか。
この4項目を確認してから設定を変更します。
GPSモジュールの設定を変更する
GPSモジュールの設定項目は、使用するM8モジュールの型番やファームウェアによって異なります。
そのため、この記事ではすべてのM8モジュールに共通する固定値として設定するのではなく、使用しているモジュールの仕様を確認して設定することを基本にします。
特に、
更新レート
GNSS構成
NMEA出力
ボーレート
は関連しています。
例えば更新レートだけを10Hzに変更しても、出力するNMEAデータ量が多すぎれば通信側で問題が発生する可能性があります。
設定変更後は「保存」が必要
GPSモジュールによっては、設定変更後に電源を切ると設定が元に戻る場合があります。
そのため、
設定を変更する
↓
動作を確認する
↓
問題がなければ設定を保存する
という順番で確認します。
u-blox M8系では、設定を一時的に反映させて動作を確認した後、必要に応じて不揮発性メモリへ保存するという考え方があります。
これは非常に重要です。
設定を変更しただけで「保存された」と思い込まず、
電源を入れ直して設定が維持されているか
まで確認すると安心です。
設定したら実際に確認する
設定が終わったら、PC上で実際にGPSデータを確認します。
確認したいのは、
位置情報が更新されているか
衛星を正常に捕捉しているか
NMEAデータが途切れていないか
通信が安定しているか
設定した更新レートでデータが出力されているか
です。
ここまで確認して初めて、
「GPSモジュールを10Hzで使用できる状態になった」
と考えます。
KLAPで実際に使用する
GPSモジュールの設定が終わったら、次はGPSラップタイマーへ接続します。
KLAPではGPSモジュールから受信した位置情報を利用して、
GPSデータ
↓
緯度・経度などを取得
↓
スタートラインを判定
↓
ラップタイムを計算
という処理を行います。
つまり、GPSモジュール自体がラップタイムを計算しているわけではありません。
GPSモジュールは、
位置・時刻・速度などの情報を出力する装置
です。
そのデータをKLAP側で処理して、ラップタイムを計算します。
実走行で確認すること
設定ができたからといって、すぐに「完璧」と判断するのではなく、実際の走行で確認することも重要です。
特に確認したいのが、
GPSの途切れ
走行ラインの乱れ
ラップ判定
セクター判定
速度データ
GPSログ
です。
私自身もKLAPの開発では、GPSモジュールを机上だけで確認するのではなく、実際にサーキットへ持ち込んで走行データを確認してきました。
同じ10Hz設定でも、GPSモジュールやアンテナ、受信環境によって結果が変わることがあります。
そのため、
PC上で正常
↓
実際の車両へ搭載
↓
実走行で確認
という流れが重要になります。
まとめ
u-blox M8のGPSモジュールをGPSラップタイマーで使用する場合、単純に「10Hzへ変更する」だけではありません。
まず、
GPSモジュールの型番
現在の更新レート
GNSS設定
NMEA出力
ボーレート
を確認します。
そのうえで必要な設定を変更し、動作確認を行います。
そして最後に、
設定を保存する
↓
電源再投入
↓
設定が維持されているか確認
↓
KLAPへ接続
↓
実走行で確認
というところまで行います。
GPSラップタイマーでは、
「10Hzに設定できた」
ことよりも、
「必要なGPSデータを安定して受信できる状態になっている」
ことが重要です。
私自身、KLAPの開発で複数のGPSモジュールを使用してきましたが、実際の走行ではGPSモジュールの設定や通信状態がラップ計測に大きく影響することを経験しました。
設定は非常に簡単です。
設定さえできれば、自作でbluetooth対応外部GPSモジュールを作り安値で無料アプリで高レートのGPSが使用可能です。
チャレンジしてみてください。
K-LAP用の個別の設定数値や設定方法はこちらの記事から確認できます。



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