自作GPSラップタイマー「KLAP」では、エンジン回転数をスマートフォンへ表示するために、バイクから出力されるパルス信号をマイコンで読み取っています。
しかし、バイクの点火信号はそのままではマイコンへ入力できません。
今回は、実際にKLAPで使用しているパルス整形回路の考え方と、安定した回転数計測を行うためのポイントを紹介します。
なぜパルス整形が必要なのか
バイクのイグニッションコイルやピックアップコイルから出力される信号は、
- 電圧が高い
- ノイズが多い
- 波形が不安定
という特徴があります。
ArduinoやESP32などのマイコン入力は一般的に3.3Vまたは5V程度までしか許容できません。
そのため信号をそのまま接続すると、
- 誤カウント
- 回転数の乱れ
- マイコンの故障
などの原因になります。
安定したタコメーターを作るためには、まず信号を安全なレベルへ変換する必要があります。
KLAPで使用している信号処理の流れ
今回の回路では次のような手順で信号を処理しています。
① ローパスフィルタ(LPF)
最初にローパスフィルタを通して高周波ノイズを除去します。
バイクの電装系は、
- イグニッションノイズ
- レギュレーターからのノイズ
- 発電系ノイズ
などが多く発生します。
そのため適切なカットオフ周波数を設定し、不要な成分を除去しています。
② ダイオードクランプ
次にダイオードを利用してマイナス電圧成分を除去します。
点火信号には負電圧が発生することがあり、そのままではマイコンを破損させる危険があります。
クランプ回路によって入力保護を行います。
③ オペアンプによる波形調整
ノイズ除去によって小さくなった信号を増幅し、安定したレベルへ調整します。
この段階で信号の判定を行いやすくしています。
④ ワンショット回路
最後にロジックICを使用し、一定幅の矩形波へ変換します。
波形が多少乱れていても、「1回転につき何パルス」という情報を安定して取得できるようになります。
なぜ矩形波に変換するのか
マイコンは電圧の変化を利用して回転数を計算します。
しかし波形が崩れていると、
1回の点火を
- 2回
- 3回
と誤認識してしまう場合があります。
ワンショット回路によって一定幅の矩形波へ変換することで、安定した回転数計測が可能になります。
高回転域への対応
サーキット走行では高回転域での安定性も重要です。
ワンショット回路の出力幅は、
- コンデンサ
- 抵抗
による時定数で決まります。
KLAPで使用している定数では、一般的な2ストロークレーサーやミニバイクで使用される回転域を十分カバーできるよう設計しています。
パルス整形後の活用例
整形された信号はマイコンで処理され、
- 電気式タコメーター
- BLE通信によるスマホ表示
- GPSラップタイマーとの連携
などに利用しています。
KLAPではESP32を利用し、回転数データをリアルタイムでスマートフォンへ送信しています。
まとめ
バイクの点火信号は、そのままではマイコンで安定して扱うことができません。
高精度なタコメーターやデータロガーを実現するためには、
- ノイズ除去
- 電圧保護
- 波形整形
が非常に重要になります。
地味な回路ですが、このパルス整形回路が安定した回転数表示やGPSラップタイマー連携を支える重要な役割を担っています。
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