はじめに
GPSラップタイマー「KLAP」は、スマートフォンのGPSや外部GPSモジュールを利用して、サーキット走行のラップタイムを自動計測するために開発したアプリです。
スタートラインを一度設定しておけば、走行中にボタンを操作することなく、スタートラインの通過をGPSで判定してラップタイムを記録できます。
KLAPは開発者自身がサーキットで実走テストを行いながら、GPSの更新レートや測位誤差、ラップ判定、逆走防止、セクター計測などの機能を改善してきました。
本記事では、現在のKLAPの基本的な使い方と設定方法をまとめます。
KLAPにできること
KLAPでは、GPSを利用して以下のような計測ができます。
- GPSによる自動ラップ計測
- 手動ラップ計測
- GPS速度表示
- ラップ履歴の記録
- ベストラップの確認
- GPX走行ログの保存
- スタートラインの設定
- セクターラインを利用した区間計測
- GPS通過判定の予測処理
- 走行方向を考慮したラップ判定
- BLE対応機器との連携による回転数・水温表示
また、保存したGPSログは「KLAP Analyzer」で読み込み、走行ラインや速度変化、ラップ、セクターなどを後から確認できます。
KLAPは単純にラップタイムを表示するだけでなく、走行後のデータ解析まで行えることを目指して開発しています。
KLAPを利用するための準備
KLAPを利用する場合、まずGPSを利用できる端末を準備します。スマートフォン内蔵GPSを利用する場合
スマートフォンだけでもKLAPによるラップ計測が可能です。
初めてGPSラップタイマーを使用する場合は、まずスマートフォン内蔵GPSで動作を確認する方法がおすすめです。
必要なものは、
- GPSを搭載したスマートフォン
- KLAP
- 走行するサーキットのスタートライン情報
です。
端末の位置情報利用を許可し、GPSが正常に測位できる状態で使用してください。
外部GPSを利用する場合
より細かな走行ログを記録したい場合は、外部GPSモジュールを利用できます。
KLAPでは10Hz GPSの利用も検証しています。
GPSの更新レートが高くなると、1秒間に取得できる位置情報の数が増えるため、走行ラインやセクター区間などをより細かく記録できます。
例えば時速100kmで走行した場合、
- 1Hz:約27.8mごと
- 5Hz:約5.6mごと
- 10Hz:約2.8mごと
に位置情報を取得する計算になります。
ただし、更新レートが高ければ必ず測位精度が高くなるわけではありません。
GPSチップ、アンテナ、受信環境、測位処理なども結果に影響します。
そのためKLAPでは、10Hzという数字だけではなく、実際のGPSモジュールをサーキットで走行させて検証しています。
初回起動時の基本設定
KLAPを初めて使用する場合は、まずGPSが正常に取得できていることを確認します。
スマートフォンの位置情報設定でGPSの利用を許可してください。
外部GPSを使用する場合は、使用するGPSモジュールが正常に接続され、位置情報がKLAPへ入力されていることを確認します。
GPSが正常に取得できていない状態では、スタートラインの設定やラップ計測を正しく行えません。
スタート・ゴールライン設定
GPSラップタイマーで最も重要なのがスタートラインの設定です。
P1とP2を使用してラインを作る
スタートラインの両端に相当する2点を設定します。
P1とP2によってスタートラインの位置と方向を定義します。
できるだけ実際のコース上のスタートラインに合わせて設定してください。
ラインが大きくずれている場合、GPS誤差と組み合わさってラップ判定位置に影響する可能性があります。
KLAPでは、コース上のスタートラインをGPS上の2点で設定します。
手順
① P1ボタン(青)を押す
スタートライン左側へ配置します。
② P2ボタン(赤)を押す
スタートライン右側へ配置します。
③ ドラッグで微調整
実際のコースに合わせて位置を調整します。
設置のコツ
スタートラインに対して垂直になるよう配置してください。
斜めに設置すると誤判定やラップ誤差の原因になります。
設定後、
「スタートラインを決定・保存」
を押して
保存済み:OK
と表示されれば完了です。
スタートラインの方向も重要
現在のKLAPでは、単純にGPS座標がラインを横切ったかどうかだけで判定するのではなく、スタートラインの方向情報も利用しています。
これにより、ピットロードなどでスタートライン付近を通過した場合に、通常の走行とは異なる方向からの通過を判定しやすくしています。
これは初期バージョンから実走テストを重ねる中で改善してきた部分です。
サーキット設定
あらかじめ登録されたサーキットを利用する場合はこちらを使用します。
KLAPでは、あらかじめ登録したサーキット情報を利用できる場合があります。
登録済みのサーキットを利用する場合は、サーキットを選択して設定を適用します。
その後、実際の走行環境とスタートライン位置が合っているか確認してください。
登録情報と実際のコース環境が異なる場合は、必要に応じて設定を見直します。
手順
KLAPでは、あらかじめ登録したサーキット情報を利用できる場合があります。
登録済みのサーキットを利用する場合は、サーキットを選択して設定を適用します。
その後、実際の走行環境とスタートライン位置が合っているか確認してください。
登録情報と実際のコース環境が異なる場合は、必要に応じて設定を見直します。
- サーキット選択
- サーキットを適用
- スタートラインを決定・保存
対応サーキットは随時追加予定です。
現在のラップ判定について
KLAPのラップ判定は、単純に「GPS座標がスタートラインを通過したら計測する」という仕組みではありません。
GPSは一定間隔で位置情報を取得するため、2つのGPS測位点の間でラインを通過することがあります。
そこでKLAPでは、前回位置と現在位置などの情報を利用して、ライン通過位置を予測する処理を取り入れています。
これにより、GPS更新間隔によって生じる通過位置のずれをできるだけ小さくすることを目指しています。
点火パルス設定
※BLEモジュール利用時のみ必要です。
エンジン回転数を正しく表示するために設定します。
設定方法
- 点火パルス数を選択
- パルス数を保存
エンジン形式によって必要な値が異なります。
例
- 1パルス/回転
- 0.5パルス/回転
- 2パルス/回転
など
車両に合わせて設定してください。
計測閾値設定
初期バージョンのKLAPでは、スタートライン周辺の判定範囲を利用者が調整する必要がありました。
しかし、実走テストを重ねた結果、現在のKLAPでは判定ロジックを改良しています。
スタートラインの方向情報やGPS通過位置の予測処理などを組み合わせることで、以前のように利用者が細かく判定範囲を調整する必要性を減らしています。
そのため、現在のKLAPを利用する場合は、過去のバージョンで紹介していた「1Hzなら○m、10Hzなら○m」といった固定値を、そのまま現在の推奨設定として使用する必要はありません。
これはKLAPの開発によって変更された部分です。
KLAPは単純なライン通過判定ではなく、前回位置と現在位置からスタートライン通過位置を予測計算しています。
このため低速GPSでも高い計測精度を実現しています。
2026.7現在 セクターライン、スタートラインの方向記憶を導入し、予測判定プログラム変更により特に設定は不要です
クールダウン時間設定
GPSラップタイマーでは、スタートライン付近でGPS位置が揺れると、1回の通過を2回検出してしまう可能性があります。
初期のKLAPでは、これを防止するためにクールダウン時間を設定していました。
しかし現在のKLAPでは、スタートラインの方向判定や通過判定ロジックを改善し、以前のように利用者がクールダウン時間を細かく調整する必要性を減らしています。
古い記事などに記載されているクールダウン時間の数値は、初期バージョンの仕様として参考になるものですが、現在のKLAPの基本設定として扱うものではありません。
2026.7現在 セクターライン、スタートラインの方向記憶を導入し、予測判定プログラム変更により特に設定は不要です
設定初期化
すべての設定を工場出荷状態へ戻します。
設定がおかしくなった場合に使用してください。
ラップタイマー起動
設定完了後、
「ラップタイマー画面へ移動」
を押します。
GPS
外部GPSを利用する場合は、GPSモジュールから入力された位置情報を使用します。
ラップタイマー画面のボタン

START / TIMER
GPSによる自動ラップ計測を開始します。
計測開始後は、設定したスタートラインを走行方向に通過するとラップタイムが記録されます。
LAP / RESET
手動でラップ計測を行ったり、計測状態をリセットしたりするための操作です。
GPSによる自動計測とは別に、手動計測を確認したい場合にも利用できます。
HISTORY
これまでに記録したラップタイムを確認できます。
周回ごとのタイムを比較することで、走行中のペース変化を確認できます。
ベストラップを基準にして、他の周回との違いを確認することもできます。
GPS速度
GPSから取得した速度を表示します。
ラップタイムだけでなく、走行中の速度変化を確認することで、後から走行内容を分析することができます。
BLE機器との連携
KLAPでは、BLE通信を利用して外部機器からデータを取得する構成も開発しています。
対応するBLE機器を使用した場合、
- エンジン回転数
- 水温
- GPS関連情報
などを同じ画面で確認できる構成を検証してきました。
ただし、BLE機器や車両側の電装環境によって通信状態が変化する場合があります。
特にバイクでは、エンジン始動時や点火系から発生する電気的ノイズが電子機器へ影響することがあります。
そのためKLAPでは、実車環境での通信安定性についても継続して検証しています。
GPXログを保存する
KLAPでは、走行したGPSデータをGPX形式で保存できます。
GPXファイルには走行位置などの情報が記録されるため、走行後の解析に利用できます。
例えば、
- 走行ライン
- 速度変化
- ラップタイム
- セクタータイム
- 周回ごとの違い
などを後から確認できます。
KLAP Analyzerで走行データを解析する
保存したGPXデータは、走行解析ツール「KLAP Analyzer」で読み込むことができます。
KLAP Analyzerでは、
- 走行ライン表示
- 速度グラフ
- ラップ比較
- セクタータイム解析
- 走行データの比較
などを行えます。
ラップタイマーで「何秒だったか」を確認するだけでなく、
「なぜそのタイムになったのか」
を考えるためのデータとしてGPXログを利用できます。
セクター計測について
KLAPでは、ラップタイムだけでは分からない区間ごとの違いを確認するため、セクター計測機能の開発・実装を進めています。
セクターラインを設定することで、
- 1コーナーまでの区間
- S字区間
- 最終コーナー
- ストレート区間
など、任意の区間ごとのタイムを比較できます。
例えばラップタイムがほぼ同じ2周でも、
「セクター1は速かったが、セクター2で遅れていた」
という違いを確認できます。
GPSログとセクタータイムを組み合わせることで、ラップタイムだけでは見えなかった走行内容を分析できます。
走行前に確認したいこと
サーキットへ行く前に、以下を確認しておくと安心です。
GPSを確認
スマートフォンまたは外部GPSが正常に測位できているか確認します。
スタートラインを確認
実際のサーキットのスタートラインと、KLAPに登録されているラインが一致しているか確認します。
計測開始状態を確認
走行開始前にGPS計測が正常に動作していることを確認します。
GPSログを確認
必要に応じてGPX保存が正常に行われることも事前に確認します。
走行後に確認したいこと
走行後はラップ履歴だけでなく、保存したGPSログも確認することをおすすめします。
特に、
- ベストラップ
- ベストラップとの差
- 走行ライン
- コーナー進入速度
- 立ち上がり速度
- セクタータイム
などを比較すると、タイムアップにつながるポイントを見つけやすくなります。
KLAPの開発で重視していること
KLAPは、最初から現在の機能が完成していたわけではありません。
開発初期には、
- GPSの測位誤差
- 1Hz GPSによる位置情報不足
- ラップ判定の空振り
- ピットでの誤計測
- GPS位置の揺れ
- BLE通信の不安定化
- バイク特有の電装ノイズ
など、実際にサーキットや車両へ搭載して初めて分かった問題がありました。
そのため、KLAPでは机上の動作確認だけではなく、実走テストを重視しています。
実際に走行し、問題を発見し、その原因を調べ、プログラムを変更して再び走行する。
この繰り返しによって現在のKLAPへ改良してきました。
1Hz GPSでも利用できるのか?
KLAPは1Hz GPSでも利用できます。
1Hz GPSでは10Hz GPSと比較して取得できる位置情報が少なくなるため、詳細な走行ライン解析などでは不利になる場合があります。
一方で、KLAPではGPSデータ間の位置関係を利用した予測判定処理を実装しているため、1Hz GPSでも実用的なラップ計測ができるように設計しています。
まずスマートフォンだけでラップ計測を始め、必要に応じて10Hz外部GPSへ移行するという使い方も可能です。
10Hz GPSを利用するメリット
10Hz GPSでは1秒間に10回位置情報を取得できます。
そのため、
- 走行ラインを細かく記録できる
- セクター解析に利用しやすい
- コーナー周辺の軌跡を比較しやすい
- 速度変化をより細かく記録できる
といったメリットがあります。
ただし、10Hzという数字だけでGPSの性能が決まるわけではありません。
GPSモジュールそのものの性能やアンテナ、受信環境なども重要です。
KLAPでは複数のGPSモジュールを実走テストし、実際のサーキット走行でデータを比較しています。
ラップタイマー画面の見方
ラップ
現在周回のラップタイム
経過時間
現在ラップの経過時間
ラップ履歴
過去ラップ一覧
ベストラップは赤文字で表示されます。
GPS速度
現在速度を表示
回転数(BLE接続時)
エンジン回転数を表示
タコメーターバー
回転数をバーグラフ表示
水温表示
BLEモジュールから取得した温度を表示
よくある質問
Q. スマートフォンだけで使えますか?
はい。
スマートフォン内蔵GPSを利用したラップ計測が可能です。
まずはスマートフォンだけでKLAPを試し、必要に応じて外部GPSを追加する方法もあります。
Q. 10Hz GPSは必須ですか?
必須ではありません。
1Hz GPSでもKLAPを利用できます。
ただし、走行ラインやセクターなど、より細かなデータを利用したい場合は10Hz GPSが有利です。
Q. GPSが少しずれていても計測できますか?
GPSには測位誤差があるため、完全に同じ位置を取得できるとは限りません。
KLAPでは通過位置の予測や走行方向の判定などを利用し、GPS誤差による誤判定をできるだけ減らす設計にしています。
Q. ピットロードを通過するとラップが計測されませんか?
KLAPでは走行方向などを考慮した判定処理を実装しています。
ただし、GPS受信状態やライン設定などによって結果が変わる可能性があるため、実際のコースで事前に動作を確認することをおすすめします。
Q. GPXデータは保存できますか?
はい。
走行データをGPX形式で保存し、KLAP Analyzerなどの解析ツールで利用できます。
Q. BLE機器は必須ですか?
いいえ。
GPSによるラップ計測だけで利用できます。
BLE機器を追加することで、回転数や水温などのデータを組み合わせた計測環境を構築できます。
まとめ
KLAPは、スマートフォンや外部GPSを利用してサーキット走行のラップタイムを計測するGPSラップタイマーです。
現在のKLAPでは、単純なGPSライン通過判定だけではなく、
- GPS通過位置の予測
- スタートライン方向の判定
- 走行方向を考慮したラップ判定
- GPXログ保存
- セクター計測
- KLAP Analyzerとの連携
また、1Hz GPSでも利用できる一方、10Hz GPSを利用することで、走行ラインやセクターなどの詳細なデータを取得しやすくなります。
KLAPは現在も開発を続けています。
「ラップタイムを測る」だけで終わらず、
「なぜそのタイムになったのか」
まで確認できるGPSラップタイマーを目指して、今後も実走テストと改良を続けていきます。
※KLAPの機能や画面構成は開発・アップデートによって変更される場合があります。本記事では2026年7月時点の現在仕様を基準として説明しています。



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