サーキット走行でGPSラップタイマーを使用する場合、GPSモジュールの設定は計測精度に大きく影響します。
特にMediaTek(MTK)製GPSモジュールは安価で入手しやすい反面、初期状態では1Hz設定になっているものが多く、そのままでは高速走行時の計測精度が十分とは言えません。
本記事では、MediaTek製GPSモジュールを10Hz化し、ラップタイマー用途に最適化する方法を紹介します。
なぜ10Hz設定が必要なのか
GPSラップタイマーでは位置情報の更新回数が重要になります。
時速100kmで走行した場合、
更新レート 位置取得間隔 1Hz 約27.8m 5Hz 約5.6m 10Hz 約2.8m
となります。10HzにすることでGPSの測位誤差そのものが小さくなるわけではありませんが、スタートライン通過時刻の補間精度が向上します。
その結果、
- ラップタイム
- セクタータイム
- 走行ライン解析
の再現性が高くなります。
KLAPでは独自の予測通過機能を搭載しているため1Hzでも計測可能ですが、より安定した計測には10Hz設定を推奨しています。
時速100kmで走行した場合、
| 更新レート | 位置取得間隔 |
|---|---|
| 1Hz | 約27.8m |
| 5Hz | 約5.6m |
| 10Hz | 約2.8m |
MediaTek GPS設定の難しさ
u-blox製GPSであれば「u-center」という公式ソフトで簡単に設定変更できます。
一方でMediaTek製GPSは、
- PowerGPSで設定が保存されない
- モジュールによって挙動が異なる
- 設定変更後に元へ戻る
などの問題が発生することがあります。
そこで確実なのがTeraTermを利用してコマンドを直接送信する方法です。
必要なもの
設定には以下を使用します。
GPSモジュール
MediaTekチップ搭載GPS
USBシリアル変換器
PCとGPSを接続するために使用
TeraTerm
シリアル通信ソフト
配線方法
GPSモジュールとUSBシリアル変換器を接続します。
GPS USB変換器 VCC VCC GND GND TX RX RX TX
TXとRXはクロス接続になります。
接続ミスが最も多いポイントなので注意してください。
TeraTermの基本設定
TeraTermを起動し、[シリアル]を選択してGPSモジュールが繋がっているポートを指定します。
[設定] > [シリアルポート] を開き、速度(ボーレート)をデフォルトの「9600」に設定します。
[設定] > [端末] を開き、以下の通り変更します。
改行コード: 受信「AUTO」 / 送信「CR+LF」
ローカルエコー: チェックを入れる(自分が送ったコマンドが見えるようになります)
画面にGPSの生データ(NMEA文章)が流れ始めれば、通信成功です。
設定変更のステップ(コマンド送信)
以下のコマンドを1つずつコピー&ペーストして送信してください。
ステップ1:ボーレートを 115200 に引き上げる
$PMTK251,115200*1F
送信すると通信速度が変更されます。
画面表示が止まったり文字化けしても正常です。
ステップ2:TeraTerm側の速度を合わせる
[設定] > [シリアルポート] を開き、「スピード」を 115200 に変更して[OK]を押します。再びNMEA文章が流れ始めれば成功です。
ステップ3:更新レートを 10Hz にする
$PMTK220,100*2F
データの流れる勢いが劇的に速くなります。
ステップ4:設定を保存する(EEPROM書き込み)
$PMTK311*37
※一部の安価なモジュールでは電源を切るとリセットされる場合がありますが、念のため送信しておきます。
5. ラップタイマー向けの最適化設定
データの転送量を抑え、計測精度を安定させるために不要なデータを間引きます。
出力情報の絞り込み(RMCのみ出力)
$PMTK314,0,1,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0*29GPSモジュールは多くのNMEA文章を出力しています。
不要な情報を停止することで、
- 通信負荷低減
- マイコン負荷低減
- データ欠落防止
につながります。
衛星の組み合わせ設定(GPS + GLONASS + みちびき 推奨)
$PMTK353,1,1,0,0,1*2A
みちびき(QZSS)を有効にすることで日本国内では測位安定性が向上します。測位精度の向上(DGPS/SBAS有効化)
$PMTK313,1*2E $PMTK301,2*2EDGPSやSBAS補正を利用します。
環境によって効果は異なりますが、基本的には有効化を推奨します。
測位情報を表示したい(POWERGPS用)
実際に使ってみた感想
管理人もMediaTek GPSモジュールを複数テストしています。
近年はu-blox M10が人気ですが、適切に設定したMediaTekモジュールでもラップタイマー用途では十分実用になります。
特に10Hz設定と不要メッセージ削減を行うだけでも動作安定性は大きく改善します。
中古品や安価なGPSモジュールを活用したい方にはおすすめの方法です。
まとめ
MediaTek製GPSモジュールはTeraTermから直接コマンドを送信することで設定変更できます。
ラップタイマー用途では、
- 更新レート10Hz
- ボーレート115200
- RMC中心の出力
- QZSS有効化
が基本設定になります。
GPS性能を最大限活用するためにも、導入時に一度設定を見直してみてください。
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