【開発記録】KLAP Analyzer構想メモ|走行解析ツールはどうやって生まれたのか?

2026年2月14日土曜日

GPS走行解析 ラップタイマー開発

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KLAPAnalyzer走行解析イメージ図

現在公開している走行解析ツール「KLAP Analyzer」には、GPSログを利用した走行ライン表示、速度グラフ、ラップ比較、セクター解析などの機能があります。
しかし、最初からこのような機能が揃っていたわけではありません。
2026年2月当時、KLAPはまだGPSラップタイマーとしての基本機能を作り込んでいる段階でした。
ラップタイムを計測することから始まり、実際にサーキットを走行してデータを確認していく中で、
「ラップタイムだけでは、走りの違いが分からない」
と感じるようになりました。
そこから考え始めたのが、GPSログを利用した走行解析ツールです。
この記事では、KLAP Analyzerの開発初期にどのようなことを考えていたのか、そして当時の構想が現在どのように実装されていったのかを、開発記録として振り返ります。


なぜ走行解析が必要だと思ったのか

GPSラップタイマーを実際にサーキットで使っていると、ラップタイムは非常に便利です。

例えば、

40秒50

というタイムが出れば、その周回が速かったのか遅かったのかを簡単に判断できます。

しかし、何周か走っていると別の疑問が出てきます。


なぜこの周回だけ速かったのか?

どのコーナーでタイムを失ったのか?

前の周と何が違ったのか?

セッティングを変更した結果、本当に速くなったのか?


ラップタイムだけでは、こうした疑問に答えることができません。

例えば2周のラップタイムが、

40.50秒

40.20秒

だったとします。

0.30秒速くなったことは分かります。

しかし、

  • 1コーナーで0.1秒速くなった
  • 中盤のコーナーで0.2秒速くなった
  • 最終コーナーでは逆に遅くなった

というような違いは、ラップタイムだけでは分かりません。

そこで、

「ラップタイムを測る」だけでなく、「なぜそのタイムになったのかを見る」

ための機能が必要だと考えるようになりました。

最初に考えたのは「走行ラインの比較」

最初に思い浮かんだのが、GPSログを使った走行ラインの表示でした。

GPSラップタイマーでは、走行中に位置情報を取得しています。

そのデータを保存しておけば、走行後に、

  • どこを走ったのか
  • どのラインを通ったのか
  • 周回によってラインがどう変わったのか

を見ることができます。

例えば同じコーナーでも、

1周目

進入ラインが外側

クリップが遅い

立ち上がりで外へ出る

という走りと、

2周目

進入を少し早める

クリップ位置が変わる

立ち上がりを早くする

という走りでは、GPS上の軌跡にも違いが出ます。

この違いを画面上で比較できれば、ラップタイムだけでは分からなかった走行の変化を確認できます。

これがKLAP Analyzerの基本的な考え方の一つになりました。

次に考えたのが速度グラフ

走行ラインだけでは、まだ分からないことがあります。

そこで次に考えたのが速度データのグラフ化です。

例えばサーキットを1周したとき、

  • どこで減速したのか
  • 最低速度はどこだったのか
  • どこから加速しているのか
  • 最高速度はどこで出たのか

といった情報をグラフにできれば、走りをさらに細かく比較できます。

特に同じコースを走った2周を比較すると、

「このコーナーでは前の周より速度を落としすぎている」

といった違いを見つけられます。

これはラップタイムだけを見ている場合には分からない情報です。

セクタータイムも必要になった

さらに考えたのが、セクターごとの比較です。

ラップタイムだけでは、

1周全体では速かったけれど、どこが速かったのか?

という疑問が残ります。

そこでコースを複数の区間に分けて、

  • S1
  • S2
  • S3

というように区間ごとのタイムを計測できるようにすれば、ラップタイムの差をより細かく確認できます。

例えば、


ラップタイムS1S2S3
Lap 140.50秒13.2013.6013.70
Lap 240.20秒13.1013.3013.80

という結果なら、全体では0.30秒速くなっていても、

S1とS2でタイムを稼ぎ、S3では逆に遅くなった

ことが分かります。

このように、

ラップタイム → セクター → 走行ライン → 速度

と情報を細かくしていくことで、走行の違いを分析できると考えました。


なぜ10Hz GPSを重視したのか?

ここで重要になったのがGPSの更新レートです。

KLAPでは開発初期から10Hz GPSの活用を重視していました。

例えば時速100kmで走行している場合、単純計算では、

1Hz

なら1秒間に約27.8m進みます。

一方、

10Hz

なら0.1秒ごとに位置情報を取得するため、1回の取得間隔で進む距離は約2.8mになります。

もちろん、10HzにしたからといってGPSの測位誤差そのものが10分の1になるわけではありません。

しかし、走行中に取得できる位置情報の点数が増えることで、

  • 走行軌跡
  • ライン通過
  • セクター通過
  • 速度変化

などをより細かい時間間隔で記録できます。

これは、後からGPSログを解析する場合にも重要になります。

そのためKLAPでは、単純なラップタイム計測だけでなく、将来的な走行解析まで考えて10Hz GPSを活用する方向へ進んでいきました。


10Hzにすればすべて解決したわけではなかった

ここはKLAPの開発で実際に苦労した部分です。

10Hz GPSを使えばデータ量は増えますが、

「10Hz=必ず正確」

というわけではありません。

GPSモジュールによって測位結果に違いがありますし、設定やアンテナ、受信環境などによっても結果が変わります。

さらに、取得したGPSデータをそのまま使えば正しい走行ラインになるわけでもありません。

実際に走行してログを確認すると、

  • GPS位置が一時的にずれる
  • 走行ラインが実際の位置から外れる
  • 一部のデータが不安定になる

といったこともありました。

このため、KLAP Analyzerを作る上でも、

「GPSログを表示するだけ」

ではなく、

「取得したGPSデータをどう扱うか」

が重要だと分かりました。

構想から実装へ


2026年2月当時は、まだ多くの機能が構想段階でした。

しかしKLAP本体の開発と実走テストを進める中で、少しずつ機能を実装していきました。

現在のKLAP Analyzerでは、

  • GPXログの読み込み
  • 走行ライン表示
  • 速度データの確認
  • ラップ比較
  • セクター計測
  • 走行データの解析

などができるようになっています。

当初考えていたことが、実際のツールとして少しずつ形になってきました。

実走テストが開発を進めるきっかけになった

KLAP Analyzerの開発では、実際の走行データが非常に重要でした。

机上で、

「この機能があれば便利だろう」

と考えるだけでは、本当に必要な機能なのか判断できません。

実際にサーキットを走って、

走行する

GPSログを保存する

データを確認する

何が分からないのか考える

機能を追加する

再び走行して確認する

という流れを繰り返しました。

この繰り返しによって、KLAP Analyzerは単なるGPSログ表示ツールではなく、実際の走行データを比較するためのツールへと発展していきました。


KLAP Analyzerは現在も開発中

現在のKLAP Analyzerには、当初構想していた機能の多くが実装されています。

しかし、まだ完成したとは考えていません。

GPSログから読み取れる情報には、

  • ラップタイム
  • セクタータイム
  • 走行ライン
  • 速度
  • 周回ごとの差

など、まだまだ活用できる情報があります。

今後も実走データを確認しながら、

「走行後に何が分かれば、次の走行に役立つのか?」

という視点で機能を追加していきたいと考えています。


KLAP Analyzerを作って分かったこと

開発を始める前は、GPSラップタイマーの目的は「正確なラップタイムを測ること」だと思っていました。

しかし、実際に自分で使ってみると、それだけではありませんでした。

ラップタイムが分かる。

次に、どこでタイムを失ったのか知りたくなる。

セクターを比較したくなる。

さらに走行ラインを比較したくなる。

速度の違いも見たくなる。

このように、計測したデータをどう使うかという部分が重要になりました。

KLAP Analyzerは、この疑問から生まれたツールです。


まとめ|「ラップタイマー」から「走行解析」へ

KLAP Analyzerは、最初から完成した設計があったわけではありません。

GPSラップタイマーを実際に開発し、サーキットで走行し、データを確認する中で、

「もっと走行データを詳しく見たい」

という必要性が生まれ、そこから少しずつ機能を考えていきました。

2026年2月当時は構想だった走行ライン表示や速度解析、セクター比較なども、開発と実走テストを繰り返すことで現在のKLAP Analyzerへと発展しています。

KLAPの開発を通して分かったのは、GPSラップタイマーは単にタイムを測るだけの道具ではなく、走行データを蓄積することで、走りを振り返るためのツールにもなるということです。

これからも実際のサーキット走行で得られたデータをもとに、KLAP Analyzerの機能を改善していきます。

Kfactoryでは、GPSラップタイマー「KLAP」の開発だけでなく、実走テストで分かったことや、開発中に経験した失敗、GPSデータの解析方法なども継続して紹介していきます。


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自己紹介

kfac
kfactoryclub GPSラップタイマー「KLAP」の開発者。 Android/iPhone向けGPSラップタイマー、 10Hz GPSモジュールの検証、 走行解析ツールの開発、 ESP32やArduinoを利用した バイク向け電子工作を行っています。 実際のサーキット走行で検証した内容を掲載しています。

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