現在公開している走行解析ツール「KLAP Analyzer」には、GPSログを利用した走行ライン表示、速度グラフ、ラップ比較、セクター解析などの機能があります。
しかし、最初からこのような機能が揃っていたわけではありません。
2026年2月当時、KLAPはまだGPSラップタイマーとしての基本機能を作り込んでいる段階でした。
ラップタイムを計測することから始まり、実際にサーキットを走行してデータを確認していく中で、
「ラップタイムだけでは、走りの違いが分からない」
と感じるようになりました。
そこから考え始めたのが、GPSログを利用した走行解析ツールです。
この記事では、KLAP Analyzerの開発初期にどのようなことを考えていたのか、そして当時の構想が現在どのように実装されていったのかを、開発記録として振り返ります。
なぜ走行解析が必要だと思ったのか
GPSラップタイマーを実際にサーキットで使っていると、ラップタイムは非常に便利です。
例えば、
40秒50
というタイムが出れば、その周回が速かったのか遅かったのかを簡単に判断できます。
しかし、何周か走っていると別の疑問が出てきます。
なぜこの周回だけ速かったのか?
どのコーナーでタイムを失ったのか?
前の周と何が違ったのか?
セッティングを変更した結果、本当に速くなったのか?
ラップタイムだけでは、こうした疑問に答えることができません。
例えば2周のラップタイムが、
40.50秒
と
40.20秒
だったとします。
0.30秒速くなったことは分かります。
しかし、
- 1コーナーで0.1秒速くなった
- 中盤のコーナーで0.2秒速くなった
- 最終コーナーでは逆に遅くなった
というような違いは、ラップタイムだけでは分かりません。
そこで、
「ラップタイムを測る」だけでなく、「なぜそのタイムになったのかを見る」
ための機能が必要だと考えるようになりました。
最初に考えたのは「走行ラインの比較」
最初に思い浮かんだのが、GPSログを使った走行ラインの表示でした。
GPSラップタイマーでは、走行中に位置情報を取得しています。
そのデータを保存しておけば、走行後に、
- どこを走ったのか
- どのラインを通ったのか
- 周回によってラインがどう変わったのか
を見ることができます。
例えば同じコーナーでも、
1周目
進入ラインが外側
↓
クリップが遅い
↓
立ち上がりで外へ出る
という走りと、
2周目
進入を少し早める
↓
クリップ位置が変わる
↓
立ち上がりを早くする
という走りでは、GPS上の軌跡にも違いが出ます。
この違いを画面上で比較できれば、ラップタイムだけでは分からなかった走行の変化を確認できます。
これがKLAP Analyzerの基本的な考え方の一つになりました。
次に考えたのが速度グラフ
走行ラインだけでは、まだ分からないことがあります。
そこで次に考えたのが速度データのグラフ化です。
例えばサーキットを1周したとき、
- どこで減速したのか
- 最低速度はどこだったのか
- どこから加速しているのか
- 最高速度はどこで出たのか
といった情報をグラフにできれば、走りをさらに細かく比較できます。
特に同じコースを走った2周を比較すると、
「このコーナーでは前の周より速度を落としすぎている」
といった違いを見つけられます。
これはラップタイムだけを見ている場合には分からない情報です。
セクタータイムも必要になった
さらに考えたのが、セクターごとの比較です。
ラップタイムだけでは、
1周全体では速かったけれど、どこが速かったのか?
という疑問が残ります。
そこでコースを複数の区間に分けて、
- S1
- S2
- S3
というように区間ごとのタイムを計測できるようにすれば、ラップタイムの差をより細かく確認できます。
例えば、
| ラップタイム | S1 | S2 | S3 | |
|---|---|---|---|---|
| Lap 1 | 40.50秒 | 13.20 | 13.60 | 13.70 |
| Lap 2 | 40.20秒 | 13.10 | 13.30 | 13.80 |
という結果なら、全体では0.30秒速くなっていても、
S1とS2でタイムを稼ぎ、S3では逆に遅くなった
ことが分かります。
このように、
ラップタイム → セクター → 走行ライン → 速度
と情報を細かくしていくことで、走行の違いを分析できると考えました。
なぜ10Hz GPSを重視したのか?
ここで重要になったのがGPSの更新レートです。
KLAPでは開発初期から10Hz GPSの活用を重視していました。
例えば時速100kmで走行している場合、単純計算では、
1Hz
なら1秒間に約27.8m進みます。
一方、
10Hz
なら0.1秒ごとに位置情報を取得するため、1回の取得間隔で進む距離は約2.8mになります。
もちろん、10HzにしたからといってGPSの測位誤差そのものが10分の1になるわけではありません。
しかし、走行中に取得できる位置情報の点数が増えることで、
- 走行軌跡
- ライン通過
- セクター通過
- 速度変化
などをより細かい時間間隔で記録できます。
これは、後からGPSログを解析する場合にも重要になります。
そのためKLAPでは、単純なラップタイム計測だけでなく、将来的な走行解析まで考えて10Hz GPSを活用する方向へ進んでいきました。
10Hzにすればすべて解決したわけではなかった
ここはKLAPの開発で実際に苦労した部分です。
10Hz GPSを使えばデータ量は増えますが、
「10Hz=必ず正確」
というわけではありません。
GPSモジュールによって測位結果に違いがありますし、設定やアンテナ、受信環境などによっても結果が変わります。
さらに、取得したGPSデータをそのまま使えば正しい走行ラインになるわけでもありません。
実際に走行してログを確認すると、
- GPS位置が一時的にずれる
- 走行ラインが実際の位置から外れる
- 一部のデータが不安定になる
といったこともありました。
このため、KLAP Analyzerを作る上でも、
「GPSログを表示するだけ」
ではなく、
「取得したGPSデータをどう扱うか」
が重要だと分かりました。
構想から実装へ
2026年2月当時は、まだ多くの機能が構想段階でした。
しかしKLAP本体の開発と実走テストを進める中で、少しずつ機能を実装していきました。
現在のKLAP Analyzerでは、
- GPXログの読み込み
- 走行ライン表示
- 速度データの確認
- ラップ比較
- セクター計測
- 走行データの解析
などができるようになっています。
当初考えていたことが、実際のツールとして少しずつ形になってきました。
実走テストが開発を進めるきっかけになった
KLAP Analyzerの開発では、実際の走行データが非常に重要でした。
机上で、
「この機能があれば便利だろう」
と考えるだけでは、本当に必要な機能なのか判断できません。
実際にサーキットを走って、
走行する
↓
GPSログを保存する
↓
データを確認する
↓
何が分からないのか考える
↓
機能を追加する
↓
再び走行して確認する
という流れを繰り返しました。
この繰り返しによって、KLAP Analyzerは単なるGPSログ表示ツールではなく、実際の走行データを比較するためのツールへと発展していきました。
KLAP Analyzerは現在も開発中
現在のKLAP Analyzerには、当初構想していた機能の多くが実装されています。
しかし、まだ完成したとは考えていません。
GPSログから読み取れる情報には、
- ラップタイム
- セクタータイム
- 走行ライン
- 速度
- 周回ごとの差
など、まだまだ活用できる情報があります。
今後も実走データを確認しながら、
「走行後に何が分かれば、次の走行に役立つのか?」
という視点で機能を追加していきたいと考えています。
KLAP Analyzerを作って分かったこと
開発を始める前は、GPSラップタイマーの目的は「正確なラップタイムを測ること」だと思っていました。
しかし、実際に自分で使ってみると、それだけではありませんでした。
ラップタイムが分かる。
↓
次に、どこでタイムを失ったのか知りたくなる。
↓
セクターを比較したくなる。
↓
さらに走行ラインを比較したくなる。
↓
速度の違いも見たくなる。
このように、計測したデータをどう使うかという部分が重要になりました。
KLAP Analyzerは、この疑問から生まれたツールです。
まとめ|「ラップタイマー」から「走行解析」へ
KLAP Analyzerは、最初から完成した設計があったわけではありません。
GPSラップタイマーを実際に開発し、サーキットで走行し、データを確認する中で、
「もっと走行データを詳しく見たい」
という必要性が生まれ、そこから少しずつ機能を考えていきました。
2026年2月当時は構想だった走行ライン表示や速度解析、セクター比較なども、開発と実走テストを繰り返すことで現在のKLAP Analyzerへと発展しています。
KLAPの開発を通して分かったのは、GPSラップタイマーは単にタイムを測るだけの道具ではなく、走行データを蓄積することで、走りを振り返るためのツールにもなるということです。
これからも実際のサーキット走行で得られたデータをもとに、KLAP Analyzerの機能を改善していきます。
Kfactoryでは、GPSラップタイマー「KLAP」の開発だけでなく、実走テストで分かったことや、開発中に経験した失敗、GPSデータの解析方法なども継続して紹介していきます。

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