iPhoneで高精度なGPSラップタイマーを実現するため開発を続けている「KLAP ip10シリーズ」。
前回の記事では、外部GPSモジュールとBluetooth通信を利用し、iPhoneでも10Hz(1秒間に10回)のGPSデータ取得に成功したことを紹介しました。
今回は実際に走行しながらデータを収集し、その精度を検証した結果を紹介します。
なぜ10Hz GPSが重要なのか
一般的なスマートフォンの内蔵GPSは1Hz前後で動作しています。
つまり、
- 1秒に1回位置取得
ということになります。
例えば時速30kmで走行している場合、約8.3m移動してから次の位置データが取得されます。
一方10Hzでは、
- 0.1秒ごとに位置取得
となるため、
約0.83mごとに位置情報が更新されます。
サーキット走行では、
- コーナー進入位置
- クリッピングポイント
- ライン取り
- スタートライン通過位置
などを正確に把握する必要があります。
そのためGPS更新回数の増加は、ラップタイム精度だけでなく走行解析にも大きな効果があります。
テスト環境
今回のテストは以下の環境で実施しました。
使用機材
- iPhone
- 外部GPSモジュール
- ESP32通信モジュール
- KLAP ip10シリーズ試作版
テスト方法
車両ではなく自転車を使用し、
- 一切画面操作なし
- 自動ロギングのみ
という条件で走行しました。
走行後に記録データをKLAP Analyzerへ読み込み、軌跡を解析しています。
解析結果
走行後に取得したログを解析した結果がこちらです。
従来の1Hz GPSでは、
- カーブが角張る
- ラインが飛ぶ
- 実際の軌跡とずれる
という現象が発生しやすくなります。
しかし今回の10Hzデータでは、
- コーナーの曲線が滑らか
- 細かな進路変更も記録
- 走行ラインが自然
という結果になりました。
特に低速で細かく方向を変えた区間では違いが顕著で、1Hzでは再現できない軌跡を描いています。
10Hz化で見えてきた課題
今回のテストでは10Hzデータ取得自体は非常に安定していました。
しかし実際に解析してみると、GPSの更新回数が増えるだけでは十分ではないことも分かりました。
GPSには、
- 測位誤差
- マルチパス
- 衛星配置
などの影響があります。
更新レートが高くてもGPSモジュール自体の性能が低ければ、正しいラインは描けません。
以前のテストでは旧世代GPSモジュールを使用したため、
- 軌跡が蛇行する
- コース外へ飛ぶ
といった問題が発生しました。
その経験から現在はu-blox M10などの高性能モジュールを中心に評価を進めています。
KLAP Analyzerとの連携
今回取得したデータは自作解析ツール「KLAP Analyzer」で確認しています。
KLAP Analyzerでは、
- 走行ライン表示
- ラップタイム計測
- セクター解析
- 車速グラフ
- ベストラップ比較
などを行うことができます。
10Hzデータとの相性は非常に良く、走行ラインの再現性が大幅に向上しました。
今後は回転数データや車両情報との同期解析も予定しています。
サーキットテストへ向けて
今回の自転車テストにより、
- Bluetooth通信
- 10Hzデータ受信
- ログ保存
- 解析表示
の一連の流れが問題なく動作することを確認できました。
次のステップはいよいよサーキットでの実走テストです。
実際のサーキットでは、
- 急加速
- 急減速
- 高速コーナー
- ラップ計測
といった条件が加わります。
こうした環境で十分な精度を発揮できるかを検証していきます。
まとめ
iPhone版KLAPの10Hz化プロジェクトは、大きな節目を迎えました。
今回のテストでは、10Hz GPSによる高密度な位置データ取得に成功し、KLAP Analyzer上でも非常に滑らかな走行ラインを確認できました。
まだ開発途中ではありますが、「iPhoneでは高精度ラップタイマーは難しい」という従来の常識を覆せる可能性が見えてきています。
今後はサーキットでの実走テストを重ねながら、正式公開に向けて開発を進めていきます。
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