なぜKLAPは10Hz GPSにこだわるのか?開発を通じて見えた1Hzの限界

サーキット走行でラップタイムを計測する方法は数多くあります。

私自身、KLAPを開発する前は市販のGPSラップタイマーアプリやスマートフォン向けアプリを数多く試していました。

しかし実際にサーキットで使用してみると、

  • ラップ判定が空振りする
  • 周回ごとにタイムが大きく変動する
  • ポンダー計測との差が大きい
  • 走行ラインが正確に記録されない

といったケースを経験しました。

もちろんアプリそのものの問題ではなく、多くの場合はスマートフォン内蔵GPSの更新レートや測位性能による制約が原因です。

当時のスマートフォンGPSの多くは1Hz(1秒に1回更新)でした。

街乗りやナビ用途では十分な性能ですが、サーキット走行では時速100kmを超えることも珍しくありません。

時速100kmで走行している場合、車両は1秒間で約27.8m進みます。

つまり1Hz GPSでは約28mごとにしか位置を取得できないことになります。

この制約はラップタイム計測だけでなく、

  • セクタータイム計測
  • 走行ライン解析
  • ベストラップ比較

にも大きく影響します。

「もっと正確に計測できないのか」

「スマートフォンでも高精度なラップタイマーを実現できないのか」

そう考えたことが、GPSラップタイマー『KLAP』の開発を始めたきっかけでした。

KLAPでは開発初期から10Hz GPSの活用に取り組み、Bluetooth GPSやUSB GPS、さらにはiPhoneでの10Hz GPS計測にも挑戦してきました。

この記事では、なぜKLAPが10Hz GPSにこだわるのか、実際の開発や実走テストを通じて見えてきた1Hz GPSの限界について紹介します。


GPSラップタイマー開発の出発点

KLAPの開発を始めた当時の目的はとてもシンプルでした。

「もっと手軽にラップタイムを計測したい」

サーキットではMYLAPSなどの公式計測システムがあります。

しかし、

  • レンタル費用が必要
  • 走行後までタイムが分からない
  • 気軽に確認できない

という不便さもありました。

そこでスマートフォンを利用したGPSラップタイマーを作り始めました。


最初は1Hz GPSでも十分だと思っていた

開発初期はスマートフォン内蔵GPSを利用していました。

街乗りや一般的なナビ用途であれば問題ありません。

しかしサーキット走行では違いました。

例えば時速100kmで走行している場合、

1秒間で約27.8m進みます。

つまり1Hz GPSでは、

約28mごとにしか位置を取得できません。

スタートライン付近で考えると、

GPSが取得した位置と実際の通過位置には大きな差が発生する可能性があります。


実際の走行で感じた違和感

実走テストを重ねる中で、

  • 同じように走ったのにラップタイムが違う
  • 計測位置がズレる
  • 軌跡が滑らかに表示されない

といった現象が見られました。

もちろん予測通過機能などで補正は可能です。

しかし、

「走行ライン解析」

まで考えると取得点そのものが不足していました。


10Hz GPSとの出会い

そこで注目したのが10Hz GPSです。

10Hzでは、1秒間に10回位置を取得します。

時速100kmの場合、約2.8mごとに位置を取得できます。

比較すると、

更新レート記録間隔
1Hz約27.8m
5Hz約5.6m
10Hz約2.8m

になります。

取得点が増えることで、

  • 通過判定
  • 走行ライン
  • セクター解析

の精度向上が期待できました。


10Hzなら何でも良いわけではなかった

開発を進める中で、もう一つ重要なことに気付きました。

それは、

更新レートと測位精度は別問題

ということです。

実際にiPhone版KLAPの開発では、10Hz化には成功したものの、走行ラインが大きくズレるという問題が発生しました。

原因を調査すると、GPSモジュールそのものの測位性能に問題がありました。

その後、u-blox M8系モジュールへ変更したところ、

  • 軌跡が安定
  • ラップ判定も安定
  • セクター解析も改善

という結果になりました。


なぜiPhone版でも10Hzに挑戦したのか

iPhoneはAndroidより外部GPS接続の制約が多くあります。

それでも開発を続けた理由は、高精度GPS計測をもっと手軽に利用したかったからです。

当時は、

  • BLE通信
  • Web Bluetooth
  • PWAアプリ

などを組み合わせながら試行錯誤を続けました。

結果として、iPhoneでも10Hz GPS計測が可能であることを確認できました。


10Hz GPSが活きる場面

10Hz GPSのメリットは単にラップタイムだけではありません。

走行ライン解析

コーナーごとのライン比較がしやすくなります。

セクター解析

区間タイムの再現性が向上します。

ベストラップ比較

複数周回の差を確認しやすくなります。

GPXログ解析

ログの情報量が増えるため解析精度が向上します。


KLAPが目指しているもの

KLAPは単なるラップタイマーではありません。

私が目指しているのは、

「手軽さ」と「精度」の両立

です。

高価なロガーのような大掛かりなシステムではなく、スマートフォンを活用しながら、できる限り高精度な計測環境を実現したいと考えています。

10Hz GPSへのこだわりは、その考え方から生まれました。


まとめ

KLAPが10Hz GPSにこだわる理由は、単純に数字が大きいからではありません。

実際のサーキット走行や開発を通じて、

  • 1Hzの限界
  • GPSモジュールの重要性
  • 走行解析への影響

を経験してきたからです。

もちろん1Hz GPSでもラップ計測は可能です。

しかし、

  • 走行ラインを解析したい
  • セクター比較をしたい
  • より正確なデータを残したい

という場合には、10Hz GPSのメリットは非常に大きくなります。

今後もKLAPでは実走テストやGPS検証を続けながら、「手軽で高精度なGPSラップタイマー」を目指して開発を進めていきます。

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