サーキットでGPSラップタイマーを使い始めると、多くの人が最初に悩むのが、
- GPSモジュールは何を選べばいいの?
- 安いGPSでも使える?
- M8とM10って何が違うの?
- 10Hz対応なら何でも同じ?
という疑問ではないでしょうか。
実際、私自身もKLAPの開発を通じて複数のGPSモジュールを実走テストしてきました。
その結果、**「10Hz対応なら何でも同じではない」**ということを痛感しました。
この記事では、GPSラップタイマー向けGPSモジュールの選び方を、実際のテスト経験をもとに解説します。
GPSモジュール選びで重要なのは「更新レート」だけではない
GPSモジュールを選ぶ際、多くの人は「10Hz対応」という表記だけを見がちです。
しかし重要なのは、
- 更新レート(1Hz、5Hz、10Hz)
- 測位精度
- 衛星捕捉性能
- 安定性
- 設定のしやすさ
です。
例えば10Hz対応でも、位置が大きく揺れるモジュールでは正確なラップ計測はできません。
更新レートとは?
更新レートとは、GPSが1秒間に何回位置情報を出力するかを表します。
1Hz GPS
- 1秒に1回測位
- スマホ内蔵GPSに多い
- 時速100kmでは約27.8mごとに記録
5Hz GPS
- 1秒に5回測位
- 約5.6mごとに記録
- スポーツ走行でも実用レベル
10Hz GPS
- 1秒に10回測位
- 約2.8mごとに記録
- ラップ判定や走行解析に有利
ただし、更新回数が多くても位置精度が悪ければ意味はありません。
実際に使ってきたGPSモジュール
スマホ内蔵GPS(1Hz)
- 追加機器不要
- 手軽に始められる
- コストゼロ
- 判定精度に限界がある
- 高速区間では誤差が出やすい
- 走行ライン解析には不向き
まずGPSラップタイマーを試してみたい人には十分です。
MediaTek系GPS
以前は低価格GPSとして人気がありました。
- 安価
- 設定変更可能
- 10Hz対応モデルも存在
- 個体差が大きい
- 捕捉性能に差がある
- ノイズの影響を受けやすい場合がある
コスト重視なら選択肢になります。
u-blox M8シリーズ
KLAPの開発でも長く使用してきたGPSです。
メリット
- 測位精度が高い
- 10Hz設定が安定
- u-centerで設定しやすい
- 実績が豊富
- MediaTekよりやや高価
- 偽物も流通している
写真のように、実際のサーキット走行でも、安定した走行ラインを記録できました。
「迷ったらM8」と言えるほどバランスの良いGPSです。
u-blox M10シリーズ
M8の後継世代にあたります。
- 消費電力が低い
- 捕捉性能が向上
- 衛星システム対応数が増加
- 小型化しやすい
- M8ほど情報が多くない
- 設定方法が少し異なる
KLAPでもM10の検証を行いましたが、非常に優秀な印象でした。
今後主流になる可能性が高いGPSモジュールです。
実際のテストで分かったこと
iPhone版KLAPの開発初期では、
- 10Hz化には成功
- しかし走行ラインが大きくズレる
という問題が発生しました。
原因を調査した結果、更新レートではなくGPSモジュール自体の測位性能にあることが判明しました。
その後、u-blox M8モジュールへ変更すると、
- 走行ラインが大幅に改善
- ラップ判定が安定
- セクター解析も正常化
という結果になりました。
この経験から、「10Hzだから正確」ではなく、「精度の高いGPSで10Hz運用すること」が重要だと実感しました。
初心者はどれを選べばいい?
まず試してみたい人
スマホ内蔵GPS(1Hz)
- 費用をかけずに始められる
- ラップタイムを知る楽しさを体験できる
- 計測ラインの解析には向かないが、予測通過判定など盛り込まれたアプリではタイム測定の誤差は少ない。
タイムアップを目指す人
u-blox M8(10Hz)
- コストと性能のバランスが良い
- 実績が豊富
- 設定情報も多い
最新構成を使いたい人
u-blox M10(10Hz)
- 高性能
- 低消費電力
- 今後の主流候補
GPSモジュール比較一覧
| 項目 | u-blox M8 | u-blox M10 | MediaTek (MT3339等) |
| 位置づけ | 定番・実績多数の標準モデル | 最新世代・最高峰の感度と低電力 | 低価格・エントリーモデル |
| 最大更新レート | 10 Hz | 10 Hz (設定により最大25Hz) | 10 Hz (多くは1Hz/5Hz初期値) |
| 同時受信GNSS | 最大3波 (GPS/GLONASS/Galileo等) | 最大4波 (GPS/GLONASS/Galileo/BeiDou) | 1〜2波 |
| 消費電力 | 普通 (約67mW) | 極めて低い (約25mW) | 普通〜やや高め |
| 捕獲速度 (TTFF) | 速い | 非常に速い (高感度RF) | 普通 |
| 独自プロトコル | UBX (柔軟な設定が可能) | UBX (最新設定ツール対応) | PMTKコマンド |
| 価格帯 | 手頃(入手性高) | やや高価〜標準 | 安価 |
- 更新レート
- 測位精度
- 捕捉性能
- 安定性
- 実績
を総合的に判断することが重要です。
私自身、KLAPの開発と実走テストを通じて、GPSモジュールによって走行ラインやラップ判定の精度が大きく変わることを経験しました。
これからGPSラップタイマーを導入する方は、まずは自分の目的に合ったGPSを選び、必要に応じて1Hzから10Hzへステップアップしていくのがおすすめです。
「どのGPSを使うか」で、ラップタイマーの使い勝手は大きく変わります。
GPSモジュールを選んだら、次は設定を確認
GPSモジュールを選んだら、次に確認したいのがGPSモジュールの設定です。
GPSモジュールは、購入して接続するだけで使用できる製品もあります。
しかし、GPSラップタイマーで10Hzなどの高い更新レートを利用する場合には、
- 現在の更新レート
- 使用しているGNSS
- NMEA出力
- ボーレート
- 通信ポート
- 設定の保存状態
などを確認する必要があります。
特に注意したいのが、同じ「u-blox M8」「u-blox M10」というシリーズ名でも、製品や設定によって仕様が異なることです。
そのため、
「M8だから10Hz」
「M10だから25Hz」
と単純に考えるのではなく、実際に使用しているGPSモジュールの型番と設定を確認することが重要です。
そこで、ここからは実際のGPSモジュールを使って、設定方法を紹介していきます。
u-blox M8を設定する
まずはKLAPの開発でも使用してきたu-blox M8シリーズです。
PCとGPSモジュールを接続し、
- GPSモジュールの認識
- 現在の設定確認
- 更新レート
- GNSS設定
- NMEA出力
- ボーレート
- 設定の保存
などを実際に確認していきます。
M8シリーズでは、u-bloxのGNSS評価ソフトウェア「u-center」を使用できます。u-blox公式でも、u-centerはM8シリーズなどの設定・評価・ログ解析に対応しています。
👉 【u-blox M8設定編】GPSモジュールを10Hzで使用するための設定方法
u-blox M10を設定する
次は新しい世代のu-blox M10シリーズです。
M10ではM8とは設定ソフトや設定方法が異なる部分があります。
u-blox公式では、M10シリーズには「u-center 2」が用意されています。
こちらも、
- PCへの接続
- GPSモジュールの認識
- GNSS設定
- 更新レート
- NMEA出力
- ボーレート
- 設定の保存
を順番に確認していきます。
👉 【u-blox M10設定編】GPSモジュールのGNSS・更新レート設定
MediaTek系GPSを設定する
低価格なGPSモジュールでは、MediaTek系GNSSチップを搭載した製品もあります。
MediaTek系GPSは、u-bloxとは設定方法やコマンド体系が異なります。
こちらについては、
- 更新レート
- NMEA出力
- ボーレート
- PMTKコマンド
- 設定の確認
などを実際のモジュールを使って紹介します。
👉 【MediaTek設定編】GPSモジュールを10Hzで使用するための設定方法
GPSラップタイマーでは、
GPSモジュールを選ぶ
↓
GPSモジュールを設定する
↓
スマートフォンやマイコンへ接続する
↓
GPSデータを受信する
↓
ラップタイムを計測する
という流れになります。
次の記事からは、この中でも特に重要な**「GPSモジュールの設定」**について、実際の画面を見ながら確認していきます。

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